ss0719 みっちゃんの工作
「ハサミとノリで工作して、それを大量にコピーすれば出来上がりよ、さあみんな、できたかな?」
「は〜いせんせいできました」
「みっちゃんのうんちから採取した大腸菌は生きがいいわね」
「やだせんせいおっきな声で言わないでよ」
「こ、これがあこがれのみっちゃんのおなかの中に居た大腸菌か…」
「やめてよ、もう!」
「大腸菌から取り出したプラスミドって、輪ゴムのようなDNAなんだな、これが自分で自分を複製するんだな」
「そうよ、輪っかを制限酵素っていうハサミで切って、増やしたい別のDNAを切り口に入れて、ノリのリガーゼで貼り付けるのよ、かんたんでしょ?」
「はや〜い、ほんの二十分で分裂して増えていくのね」
「さあ、みんな何を組み込んだのかな?」
「…」
「…」
「…」

「どうしたのかな、みんな、せんせいに教えてちょうだいな」
「ぼくは、でぶだから、オーソドックスにインシュリンを入れたよ」
「わたしは、お肌が綺麗になる遺伝子を色々調合して組み込んでみたわ」
「あたしは、丸ごと自分の遺伝子を入れたわ、姉妹が欲しかったの」
「やっぱ道々うんちするみっちゃんだな、うんち人間が欲しかったんだな、不純物は大腸菌から完全には除去できないから、絶対にうんち人間になるぞ、くさいぞ」
「ぶ、ぶっとばすわよ!」

 その夜、みっちゃんは茶色いうんち人間のにおいつきの夢を見ました。みっちゃんの日課の道々うんちしたうんちが、ゾンビのように立ち上がって来るのです。もちろん、もったいないから食べちゃいました。共食いかなって思いました。