ss0708 二億三千万年
「ぼくらの太陽系は約二億三千万年かけて銀河系を一周している」
「まあ、じゃ、地球の歴史が約四十六億年だとすると、もう銀河系を二十周もしているのね、はたちのお祝いをしないとね」
「…」
「でも、なんでそんな大旅行をしないといけないの? 太陽系だけでとどまっている事はできないのかしら、危険とかはないの?」
「そんなことはできないよ、太陽系だって銀河系の立派な一員なんだから、それに止まっていたり、逆走とかしたりしたらかえって危ないよ、他の星系とぶつかったら大変だ」
「あら、あたしたちの太陽系って… 銀河のはしっこのほうなのね、なんかさみしいわ、そうだわ、銀河の中心に移動すればいいのよ、そうすればそんな大旅行をしなくてもすむわよ」
「銀河の中心は… 星の密集地帯だし、ブラックホールの溜まり場だっていう説もあるから、だめだと思うよ、生きものが住める状態じゃないよ」
「まあ、つまんない、人間は常に世界の中心を目指していたわ、地動説を未だに信じない人だって居るじゃない、じゃ、どうせ大旅行するんだったら、宇宙の中心を目指して大旅行しましょうよ」
「宇宙の中心って…」
「場所がわからないの?」
「宇宙はまだ膨張しているからね、収縮するようになれば…」
「そうね、だまってても中心にいけるわね」