ss0704 掃除機
「ベテラン主婦でもそうなのか!?」
「そうです。掃除機はゆっくりかければきれいになるのに、てきぱきなんでもきっちり早くやるベテラン主婦にかぎってさかさか速く掃除機を動かしてしまい、結局肝心な細かい塵は吸い上げてはいないのです。説明書も絶対に読みません」
「人間にはリズムというものがある。思い込みというのもある。いくら広報しても誰も耳を貸さない」
「どうしましょう。うちは人間工学にそった製品を開発して大会社に対抗して生き抜いてきた会社ですから、掃除機も人間の精神に合わせて開発し直しましょうか?」
「やってみよう。掃除機を速く動かせば動かすほど吸引力が増す掃除機を作るのだ!」

「出来ましたね」
「ああ、従来のゆっくりしたスピードではほとんど吸い込まないが、速く動かせば動かすほどどんどん吸い込むな」
「ゆっくり動かすというのは意外とストレスを感じるものですからね、速く動かして速く部屋がきれいになる。ストレスの解消にもなって掃除も楽しくなることうけあいです。これは大ヒットしますよ!」

「でも、これから、超高齢化社会になっていくんですよね」
「そうだったな… みんな速くは動けなくなる」