ss0701 ぼくが正しい
「反発し合って、爆発… 消滅しないね」
「宇宙の終わりだからかな、電子(−)に対する陽電子(+)、陽子(+)に対する反陽子(−)の反物質、電気的なものだけになっているようだ、質量は同じだ」
「きみはぼくの反物質ということだね」
「違うよ、ぼくの反物質がきみなんだ」
「まったく同じ顔しやがって、いきなりなにを言い出すやら、ぼくが正物質に決まっているじゃないか!」
「なんだとう、ぼくは常に正しいんだ、ぼくのほうが正物質に決まっているじゃないか!」

 小さくなった宇宙のいたるところでこんな争いが生じた。生きものは自分と似ている存在を許せないのである。

「きみはぼくの反物質ということだね」
「違うよ、ぼくの反物質がきみなんだ」
「まったく同じ宇宙しやがって、いきなりなにを言い出すやら、ぼくが正物質に決まっているじゃないか!」
「なんだとう、ぼくは常に正しいんだ、ぼくのほうが正物質に決まっているじゃないか!」
「あれ、我々宇宙どうしでもそんな事があるんだな」
「そうだな、じゃ、ぼくの中の正物質ときみの中の反物質は同じという事か?」
「…」