「この星地球で暮らすには、自分以外の生物を殺して食べなければならない」
「改めて考えてみれば、それは恐ろしい究極の戒律だよな、それから水、空気、太陽、温度にも縛られている」
「それら依存する全てのものから我々人間が開放されるには、死しかない」
「そういう時代もあったな、でも今はどうだ、我々は自由だ、意識だけの存在になったからだ、別に死んで天国とかに居るわけではない」
「そうだな、今は自由だ、科学の発達というのは凄いものだな、老化も死も、活動エネルギーも克服してしまった」
「意識だけの存在って、なんか神様になった気分だな、実際にはアメーバのような、ガスのような透明の体が有るのだが」
「なんか、人、多くないか?」
「先進の宇宙人も考える事は同じだったんだな、宇宙は… 狭い、透明な人間で溢れていたのか…」
「宇宙共通語というのも有ったのか、これで永遠の命を得ても話し相手が居なくて退屈するということはない」
「しかし凄いなこの宇宙共通語、どんなに遠くの人とでも瞬時に話せ、しかも同時に複数の人の意識と混乱することなく交流出来る」
「なんか、この言語を使うと自分の意識も個性も主張する意味も無く伝えられる感じだな」
「一つの大きな意識の一部になった気分だ」
「でも、なんか面白くないな」
「食事、争い、仕事、勉強、思春期…」
「なに? それ、魅力を物凄く感じる言葉だけど… 理解できないよ」