「宇宙を行き交う宇宙線のほとんどは人体に悪影響を与え、量によっては死ぬことになるけど、気圧ゼロの真空そのものは人体に悪影響は与えないわ」
「そうよね、定期的にチュウブとかから純酸素を補給できるんだったら、宇宙船内を空気で満たす必要はないのよね、気圧ゼロで重力もないんですもの」
「空気が無い、風も無いってどんな感じかしら… もしかしたら水中で居るのよりずっと軽くて快適なことかもしれないわ」
「機械にとっては確実に最適な環境よ、酸化して錆びることも無いし、埃が入り込んで故障することも無くなるわ、長期宇宙航行にはやはり宇宙船内は真空にしなければならないわ」
「そうだわね、それに植物は葉から呼吸しているからだめだけど、動物である人間は皮膚呼吸しないから大丈夫よね、皮膚には汗腺があるだけだからね、人間以外の動物には汗腺すら無いわ」
「真空の宇宙船内は宇宙服ではなくて、普通の服で大丈夫なのね、酸素も必要なくなればチュウブも必要無くなるのに…」
「そうね、酸素が一番やっかいだわ、事故爆発の最大の原因だし、人間の寿命や老化は遺伝子が変化したり短くなるからとかいうことではなくて、活性酸素が原因ですものね、私達の通常細胞に寄生している別遺伝子を独自に持つミトコンドリアという生物が原因なのよね、エネルギーを与えてくれるのは嬉しいけど、アポトーシスは例外として、本体遺伝子には刻まれていない老化と死をも与えてくれているわけだからね、酸素は元々生物の細胞にとっては猛毒なのだからね」
「長期宇宙航行するにはミトコンドリアに変わって酸素以外でエネルギーを作り出せる寄生生物を寄生させないとならないわね、世代を変えながらの長期航行は教育や精神のメンタル面に対するリスクも大きすぎるわけだしね」
「やはり恒星から爆裂的に豊富に放射されている宇宙線を利用できる太陽電池のようなものをナノテクロノジーで作って、全ての細胞に寄生させるのがいいんじゃないかしら、別遺伝子ではなく、本体遺伝子に書き込んでちゃんと制御出来るようにしてね」
「そうね、そうすれば老化も死も無くなり、長期宇宙航行も可能になるわ、でも、体は透明にしないとだめね」
「そうよね、害になる他の宇宙線は通過させないとならないし、光は取り込まないといけないからね」
「船外活動もランデブーもスッポンポンでOKよ」
「でも、エッチするときお互い透明なのよね、彼、エキサイトしてくれないわ、きっと」
「だからね、子供を作る必要も無くなるのよ」
「あ、そうでした」