「人間の休息している時の血圧は、だいたい収縮期で120o/Hgで、弛緩期で80o/Hgだけど」
「そうね、この首だけで3メートルもあるキリンの血圧は収縮期で260o/Hg、弛緩期で160o/Hgもあるわ、超高血圧な生きものよ」
「恐ろしい、人間だったら血管が破裂しちゃうんじゃないのか?」
「血管外の圧力でうまくやっているみたいだけど、脳にいく血圧はあたしたちとあまり変わらないようよ」
「恐竜なんかも血圧凄かったんだろうな、ブラキオザウルスとかさ、首が物凄く長いやつなんかどんな数値だったんだろ」
「そういう生きものは一つの心臓じゃ効率悪いわよね、イカなんか無駄にみっつの心臓あるけど、そういう生きものにこそ複数の心臓が必要ね」
「ところできみはどうしているの? 血圧の調整が大変でしょ」
「… 知ってたの! あたしが、ろくろっ首だっていう事を」
「うん」
「ええとね、べつに首が伸びた時に心臓が増えたり大きくなったりするわけじゃないのよ、貧血を起こしているんだけど、我慢しているのよ、それにそのほうが顔色も悪くてろくろっ首らしいでしょ?」
「伸ばしたり縮めたりを頻繁に繰り返していたら大変な事になるね」
「そうよ、死んじゃうわ」