ss0666 交差点
そこには、交差点があった。
決してまじわらない、エックス字交差点だ。
岸どうしを結ぶ平行の通路はない。
エックス字の中央では人はぶつかることも、触れ合うこともない。
お互い認知することが出来ないのだ。
右脳が左半身を操作する。左脳が右半身を操作する。それと同じことだ。
左半身と右半身は鏡のようであるが、若干左半身のほうが機能が鈍い…
それゆえ、激しい対立もなくそれなりに双方とも平和であるのだ。
嘗てのソビエトとアメリカのように。
今のアメリカ以外の全ての国とアメリカのように…
では、この交差点はどうだろう…
歩いている人間はどうやら日本人のようだ。
関西人と関東人なのか? それとも男と女なのか?
いや、違う。死者と抜け殻だ。