ss0659 一日一善
「一日一善って、良い言葉ね、やってる?」
「やってる? って言われても現代人は忙しくてなかなかそんな時間が見付けられないよ」
「まあ、そうよね、そうそう、お隣の火星は一日が1時間も長い25時間よ、移り住む?」
「我々人類の体内時計が24時間ではなく、25時間だからちょうど良いとは思うけど、体内時計から察して火星にはかつて我々人類が住んで居たけど、捨てて地球に来たという説があるくらいだから、当時の人類がめちゃくちゃ汚しまくっている可能性があるからだめだよ、たぶん」
「そうかもね、火星に出戻り出来るほどの宇宙航行技術も風化しちゃってるからまだまだだめね」
「あ、そうだ、現在の地球では、一日が百年ごとに千分の一秒ずつ延びているそうだよ、潮汐作用による摩擦抵抗が原因らしいよ、地球の一日も我々人類の故郷の火星と同じ25時間になろうとしているんだ」
「百年に千分の一秒って… あなた、なんだかんだ言って一日一善したくないのね」
「そ、そんなことないよ、古代では遅れかたがもっと大きかったらしくて、ほんの数億年前の地球の一日は22時間とか23時間とかだったらしいから、火星から地球に来たばかりの人類は一日一善なんてとうてい…」
「あなたね、いいかげんにしなさい。それよりも火星からだといきなり25時間から22時間の生活になっちゃったのね」
「時差ぼけとかしたんだろうな」
「そのころに地球に来たんだったらね、でも、なんで未だにあたしたちの体内時計が25時間なのよ」
「たぶん一日一善出来るようになるために維持しているんだよ」
「後、何億年待つのよ!」