ss0650 眼 |
---|
「人間の可視光線内では、紫外線や赤外線は見えないのよね」 「うん、そうだよ、昆虫なんかは紫外線領域が見えるから、僕たち人間とは全然違う景色を見ているんだってさ、しかも複眼だし、動くものしか見えないってことだよ、特に植物の花びらや仲間の昆虫の見え方は、かなり僕たちの見え方とは違うみたいだよ」 「生きものそのものも色々な電磁波を発しているそうだし、反射もしているのよね」 「うん、そうだよ、体温の熱放射でも発生するよね」 「ところで暗い洞窟に住んでる生物は、赤外線領域まで見えているのかしら?」 「…」 「あら、あなた、それ、赤外線カメラでしょ?」 「…」 「あたしが今日、白い水着付けて来るって知ってたのね、透けて映るんでしょ?」 「…」 「ひどいわ、最低よ」 「それが… 逆に水着しか映らなかったんだよ」 「あっ…」 「きみは僕を癒すために送られて来た、アンドロイドだったんだね」 「…」 「きみの眼は、どの領域まで見えているんだい? 僕はどう映っているの?」 「看護機能もあるから、内蔵や骨までも詳細に見えているわ」 「…」