ss0641 新人類
「人間って、カンガルーやパンダほどじゃないけど、未熟児で産まれて来るのよね」
「そうよ、しかも頭がおっきいから頭蓋骨が割れて細くなって膣道を通って出てくるのよ、それでも膣道や骨盤にはかなりの負担だわ、下手すると出産後歩けなくなってしまうもの」
「今が自然分娩出来る絶妙なバランスなのね、これ以上胎児も母親の骨盤も大きくは出来ないのね」
「そうよ、本当は胎児の脳にとってはもっと成長させたほうが良いのよ、体はともかく、脳は母親の胎内で出来るだけ大きくしてからのほうが賢い子が生まれるわ、カンガルーやパンダはそういうのはあんまり関係ないけどね」
「人類が今以上に賢くなるには、出産専用の代理母を遺伝子操作して造るしかないわね、直立して歩行するという人類特有の機能を破棄させて、いくらでも大きい脳に対応出来る胎内環境を整備するのよ」
「そうね、その代理母はかわいそうだから手足の生成を阻止するのと同時に大脳の生成も阻止して、小脳と脳幹だけ残しましょう、そうすれば何も考えずに出産マシーンとして専念出来るわ」

「って、母親が歩けなくなったのはしょうがないけど…」
「新人類も頭が大きくなりすぎて…、歩けなくなっちゃったわね」
「補助的にタケコプターみたいのが必要ね」