「人間は神に似せて造られたロボットだという考え方があるけど、あながち否定も出来ない気がする」
「確かに、人間に限らず生物を原子レベルまで分解して研究してゆくと、全て機械的、物理的なもので説明出来てしまう。それは電気と化学物質で構成される意識という部分もそうで、機械的、物理的なものであるために説明出来てしまう」
「そうなんだよな、脳も物質であって、電極を差し込んでその波形を解析出来て、今何を考えたかも物理反応でわかってしまう。今では脳のどの部分でどう感じるかも解明されているので、その部分に微弱電流を流すだけで匂いや視覚、触覚を自由に感じさせたり、快、不快、好き嫌いまでも感じさせる事が出来る。つまり物理的に、機械的に意識を育む事も出来てしまうという事なんだよな」
「魂とか、心という言葉があるけど、実際にはそういうものがあるように感じてるだけで、本当はそういうものは無いのかもな」
「なんか淋しいな、今淋しいと考えた反応まで物理的、機械的に説明出来てしまうところがまた淋しい…」
「よく昔から議論される事だけど、こんな複雑な生物というものが自然に誕生するわけがない、神という存在がなければならないというのがあるけど」
「そうだな、でも、自然現象である、海の波の動きとか、渦の巻き方とか、小さくは電子、陽子の動きとかを見ていると、その複雑な運動は生命の基礎である事がわかる。自然に、神無しに生命が造られても不思議ではないとも考えられる」
「なんか虚しいな」
「たまには、考える事をやめてみるか…」