「オリンピックの後に必ず行なわれる、身体障害者によるパラリンピック… 近年はオリンピック以上に盛り上がって来ましたね」
「そうだな、科学の目覚しい発達により健常者の何倍もの能力を得て、競技出来るようになったからな」
「はい、義手義足は、脳波から無線で直接指令が繊細に送られ、動作させられるようになりました。それから義手義足の表面を覆うセンサーも高性能になり、暑さ寒さ、触感、痒みまでも微細に感知出来るようになり、それを脳に無線で逆送出来るようになりました」
「そうだな、しかも機械仕掛けなのでいくらでもその能力をバランス良く調節し、理想の位置まで能力を容易に引き上げる事が出来るわけだ」
「機械仕掛けだけではありませんよね、知能障害者には万能細胞技術で培った新生細胞を、補助細胞として同居させる事に成功しています。必要に応じてサバンクラスの記憶力を維持し高める事も、前頭葉を補完して高度な頭脳プレーのスポーツも出来るようになりました。もちろん小脳もこの技術で補完出来、習った事の無いどんな高等なスポーツも、膨大なバイオデータベースよりコピーして来て、容易にその日からプレー出来るようになりました」
「そうだな、それから整形技術も格段に上がったから、外見も全く健常人と見分けが付かなくなっている。それでいてこの超人能力だ、オリンピックよりも人気が上がるのは必然な事なのだろう」
「そろそろパラリンピックって名前変えますか? サイボーグ五輪とか、改造人間五輪とかに」
「たしかにオリンピック競技は、起源時から政治と深く結び付き、競技種目も戦争の道具を扱うものばかりだか、サイボーグ五輪とか、改造人間五輪とかは露骨過ぎるだろう」
「そうですね、それに本格的にサイボーグ五輪とか、改造人間五輪とか呼ばせるようにするには、その、戦争の道具を義手義足とかに内蔵させなければなりませんからね、今だとミサイルとか、ビームとかですかね」
「…」