ss0615 ミクロの世界
「この患者を救うには、やはり専門の医師団を作り、ミクロになって体内に潜入し、治療に当たるしかあるまい」
「だめです。この治療を行なえる医師たちは今、ちょうど全員年に一度の人間ドックの最後の項目を受診しています」
「それがどうした、そんなもの後回しにして患者を救うのが先だろう?」
「それがその、人間ドックの最後の項目というのがたまたまこれと同じミクロ技術を利用した検査団による身体検査なのです。そう簡単には検査団を引き返させる事はできません」
「しかし、この患者は一刻を争う重篤状態だ!」
「そうですね、しかたありません。医師たちの体内に居る検査団をそのままにして、二重になりますが、医師たちにミクロになってもらいましょう。ミクロ技術は進歩していてミクロになっている時間の制限はありませんから大丈夫でしょう」

『微微微微微微〜』

「いそげ!」

「よしいいぞ、幹部を焼き切れ」

「よくやった。帰還してくれ」

『ビビビビビ〜ック』

「よし、医師たちの体内の検査団も元の大きさに戻してやれ」
「…」
「どうした?」
「それがその… 二重にミクロ化したもので…」
「…」
「全員原子分解してしまったようです」