ss0614 ホタルの光仮面
「月光仮面って…、こんなのが昔の子供にはうけていたのか…」
「青年じゃなくて、おじさんなんだね、アラブの」
「仲間に日光仮面やら蛍光燈仮面やらアーク灯仮面やらは居なかったのかな?」
「光で言うと、ホタルの光仮面が雰囲気や色的には一番近いんじゃないかしら」
「ホタルの光はルシフェリンとルシフェラーゼの化学反応によって発光する、熱を殆ど出さずに光る理想的な光なんだそうだよ」
「地球環境に良いのね。じゃ、情操教育にも良いし今度の子供ヒーロー番組はホタルの光仮面で決まりね」
「…、卒業するんじゃないんだから…」
「それに、ルシフェルって、西洋じゃ悪魔の中の悪魔、大魔王の事だよ、良いのぅ?」
「そうだよ、正義の味方が大魔王だなんて子供の教育に良くないよ」
「だから、ホタルの光だけで、どうしたら光るかだけで、そういう難しい名称は前面に出さなくて良いのよ」
「ホタルの光仮面ってなんか物凄く弱そうだな」
「そういう処が人情を誘うのよ」
「なんか、すぐに俗名で風前の灯仮面って付けられちゃったりして、人気で出ないと思うよ」
「良いのよわたしは気に入ったわ」
「君はロマンチストだからな、もしかして子供用図鑑で可愛らしく描いたホタルしか見たことないんだろ、昼間のホタルはすんごいぞ、ほら」

「きゃ!!… ゴキブリの仲間だったのね」