『大変な事になってしまった。僕以外の全ての魔法使いが魔法が使えなくなり、死というものまで受け入れなければならなくなってしまった。しかもあっという間にみんな寿命というものに飲み込まれ、僕を知っている者はもう誰も居ない…』
「神様、雨を降らして下さい。このままではみんな餓えて死んでしまいます」
『神様? あ、その魔法はちょっとだけ習った事がある。いいよ、やってみるよ、あれ、聞こえてないのかな』
「神様もうけっこうです。雨を止ませて下さい」
『ああ、やばい止めかたを知らなかったんだ、どうしよう』
「あ、ノアの野郎、自分の家族と自分家の家畜だけ助けようと箱舟で逃げ出しやがった!」
『やっと止める事が出来たけど… あ、また誰か願い事を言ってる。随分近くに来てくれたようだけど』
「神様、神様の能力を私達にも少し分けてください。バベルの塔を造り、ここまでやってまいりました」
『もちろんだよ、元々みんな魔法使いなんだから、今、魔法が使えるようになる呪文を研究中なんだけど…』
「ああ、神様何をなさるんですか」
『しまった。塔を崩してしまったどころか、呪文を教えようとしたのに、言葉が増えてばらばらの言語になってしまうなんて…』
『せめておいしいものでも食べてもらい、良い生活をしてもらおう』
「神様、ひどいです。ソドムとゴモラの住民はみんな堕落してしまい、重い病気になってしまいました」
『ああ、またやってしまったぁ』
『ここはひとつ、みんなにお詫びの手紙を書こう』
「モーゼこれは!?」
「これは神様からの戒律だ。随分厳しい事が十項目も書いてある」
『… そうだった言語がむちゃくちゃになったままだった』
その後も、最後の魔法使いは失敗をし続け、現代に至っている。神様に願い事をするのは控えましょう。