ss0215 ハイテク日用品

 ハイテクな日用品を作るのは日本人は得意である。
「歩くのが億劫な老人に自動歩行ズボン、箸の扱いが下手な外人に自動箸使い手袋、望遠鏡や顕微鏡にもなるメガネ、雑踏の中でも特定の音声だけを拾うことの出来る選声補聴器… 我が社は色々便利なハイテク日用品を作って来たが、ここでまたひとつヒット商品が欲しい」
「そうですね、自動咀嚼機というのはどうです? 総入れ歯になった老人に装着し、食物を美味しく食べてもらうのです」
「いきなり良いアイディアが出たね、それで行こう」

「社長大変です。オプションで付けたお喋り機能が暴走して… 老人が常日頃の不満を家族にぶちまけています」
「知っておる。わしも装着しておる。君達、話がある、集合したまえ」
「君達、こんなものばかり作っていていいのか? 会社だから金儲けが基本ではあるが、社会に貢献するという商品に本当になっているだろうか? 日常生活を便利にするのはいいが、かえって人間の身体能力や脳の活性を妨げているのではないか?」
「社長、お言葉ですが、それではうちの商品は全てだめということになってしまいますよ」
「そうじゃ、これからは逆転の発想じゃ、人間の身体能力や脳の活性を促進するような商品を作るのじゃ」
「わかりました。やってみましょう」

「毛皮と棍棒のセットか」
「この棍棒は強力で、文明器具はもちろん、適度な運動量でビルをも崩す事が出来ます」
「原始の時代に戻せるハイテク日用品だな、よくやった」