ss0107 家猫

 西表山猫は、百匹しか生き残っていないようですが…。
「対馬山猫、西表山猫って、野良猫じゃないのか?」
「違う、山猫は家猫よりも遺伝子的にはヒョウに近いらしい」
「うっひょう! ひょうですか」
「ぶっとばすぞお前」
「ごめんごめん。まあ、例によって両方とも天然記念物だから数が少なく絶滅の危機にあるんだよな」
「そうだ、なんとかせねばならん。他の種の血を混ぜず、近親相姦を極力避けて、種を変えずに存続させていかないとな」
「しかし、家猫や他の肉食獣より劣っているからこうなってしまったのだろう? しょうがないんじゃないか」
「いや、家猫は人間の居る環境に適応しているに過ぎないから、サバイバルな環境では山猫の方が有利だ。柔軟性が高い生きものはそうそう居るもんじゃない」
「でもねえ、種を変えずに存続ねえ… 急場凌ぎでとりあえず寿命を延ばせればいいんじゃないのか」
「おお、お前たまには良いこというじゃねえか」
「えっ、いや、でも難しいだろう」
「全部保護して極楽な環境で生活させるんだ。ペットや動物園の動物は野生の何倍も生きるようだから山猫も期待できるぞ」
「なんだ、結局家猫にするわけじゃないか、我々の先祖がやったように…」