ss0104 仕切られる

 世の中には、何でもかんでも自分で仕切らないと気の済まないやつがいる。
「お前みたいなやつがいると楽だな、冠婚葬祭、社員旅行、合コン…」
「だろう、現代人はそういうのをあまりやりたがらないから、余計俺のようなやつは重宝されるんだ」
「でも、なんでそんなに仕切るのが好きなんだ?」
「車の運転と同じだよ、自分で運転してないと不安でならないんだ、助手席や後部座席に座ってしまうと酔ってフラフラになってしまうタイプなんだよ俺は」
「なるほど、会社の仕事でもそういうのはあるな、言われた事だけをやる平社員は作業そのものは単純なのに、先が読めないために不安やストレスを感じやすく、体の病気やうつ病になる確率が高いのに対し、製品開発や管理をまかされた社員は、過酷で困難で責任を問われる仕事なのに、生き生きと仕事をする」
「でもな、普段の生活ではな、仕切るやつはうざったがれんだよ、今は必要な時だけ仕切って欲しいっていうむしのいい連中ばかりなんだよ」
「だよな、人間そう簡単に持って生まれた性格を抑えて、うまく切り変えて行動する事は出来ないから、普段の家庭の生活でも、家族を仕切ってしまうんだろう」
「そうなんだよ、今はもう、仕切る家族もいないんけどね」
「仕切られてしまったわけだ」