ss0102 にらめっこ

 少女は一人で遊んでいた。
 鏡に写る自分の顔とにらめっこだ。
 もちろん笑った方が負けである。
 最初は可愛い仕草だったが、次第に鏡の中の自分を笑わせようと真剣になってゆく。
 嗚呼… 女の子とは思えない指を使った凄まじい顔だ。
 そして必死にやって… 顔が元に戻らなくなってしまった。
 いや、それどころか指も抜けなくなってしまった。
 息も出来なくなった。
 笑えない。
 崩れ落ちる少女は斜めから鏡を見た。
 扁平に映るその顔は笑っているように見えた。
 勝った! と少女は最後に思った。