ss0100 100までも…

 その男達は俺と同じ顔をしていた。
「同じ色の服、同じような髪型、同型の車、似たような小物装飾品…」
「同じだな」
「気持ち悪いな」
「ちょっとしたしぐさ、くせ、喋り方までもそっくりだ」
「三人とも同じ家庭で育っていればこんな事にはならなかったはずだ」
「そう、普通の兄弟は何番目に産まれたかによって立場が違い、趣味や性格やプライドの持ち方まで差が出てしまう。それは一卵性双生児の兄弟でもそうだ」
「しかし、俺達はよく似た別々の家庭でそれぞれ一人っ子として育った。双子でも一緒に暮らせば、それなりに反発しあい、また、協調しあって好みのものやしぐさ、くせまでも差が出てくるのに我々にはそういうことはなかった」
「そろそろ、決着を付ける時が来たな」
「ああ、この島に三つの組はいらない」
「誰が残っても同じ事だからな」
 次の瞬間、同時に銃声が鳴った。
 誰も残らなかった。
 寸分の狂いも無く、同時に隣の自分の額を撃ったからだ。