ss0065 飴と鞭

 人間は、叱られて成長するタイプと、誉めちぎられて成長するタイプがいる。その見極めが難しい。
「おい、地球人、お前らの地球を支配したは良いが、なかなか奴隷としてうまく働いてくれんな、どうしてだ?」
「インベーダー様、生かしておいてくれてありがとうございます。ええーと、それはですね、生かしておいてくれている有り難味だけでなく、地球人には飴と鞭が必要なのです」
「飴と鞭?」
「そうです。うまく行動した時の物質的、精神的な報酬と、失態した時の罰が必要なのです」
「そうか、我々宇宙の覇者にも遠い昔に克服し無意味になった支配者のテクニックの中に、そういうものもあったような気がする。ま、お前詳しそうだからお前に任す。お前の奴隷としての仕事だ」
「はい、ではまず私に物質的、精神的報酬として、奴隷長、いや、地球の独裁者の役と、高度な医療術をお授け下さい」
「うむ、それでお前が失敗した時に罰を与えれば良いのだな」
「そうです。命を奪うというのが最大の罰です」
「お前の名は?」
「ナザレのイエスです。ご主人さま。主よ…」