ss0064 冬眠
宇宙時代になり、最近親交が叶ったある星に彼らは到着した。
「随分活発に活動してますね」
「いらっしゃい、せっかく遠くから来てくれたのにあまりお構いも出来ず申し訳ない」
「いえいえ、ところでどうしてそんなに急がしそうなんです?」
「君達の時間で言うところの一年が終わり、つまり春、夏、秋まで来て、もうじき冬だからなのですよ」
「あっ、そういえば貴方達の星の冬はメチャメチャ寒いので冬眠カプセルに入り冬眠するのでしたね」
「そうなのです。貴方達地球人の童話にあるアリとキリギリスを知っていますよ、今我々は長い冬を乗り切るために必死になって働いているアリさん状態なのです」
「そうでしたか、大変な時期に遊びに来てしまいましたね、また春になったらゆっくり遊びに来ますよ」
「えっ! ええそれは良いのですが、私のこの子供の年齢がわかりますか?」
「ありゃ、随分可愛いお子さんですね、五歳くらいかな?」
「五千歳です」
「ええっ!!!」
「この星は彗星なのですよ、一年ほど太陽の重力に捕まった後、再び解放され弾き飛ばされて千年間宇宙を旅するのです」
「しっ… 失礼しました! 次の春には会えませんね…」
短短小説