ss0061 寄生虫

 人は一人では生きられず、何かに頼らなければならない。
「こ、こんなに長いものが僕のお腹の中に入っていたんですか」
「うむ、しかも新種の寄生虫だ」
「悪いやつですね」
「まあ、そうだが、入っているとアレルギーや皮膚病にならないケースもある」
「ほんとですかぁ? でもこんなのに入っていてほしくないですよ」
「アマゾンの子供も最近は合成繊維の下着や服を着ているが、寄生虫をお腹に宿しているために、アレルギーになる子供はゼロだ。文明国、特に日本人は綺麗好きすぎて、少量の大腸菌ですら体調を崩す」
「でも、完全な無菌室で一生生活できればそんな苦労はないのでしょう?」
「うむ、エイズ患者を完全な無菌室に入れ、完全に人体から細菌や寄生虫を除外できればエイズが発病しても死ぬことはない。エイズそのものは人間を殺さないからな」
「でも、そんなことは不可能なのでしょう?」
「地球では無理としても、宇宙時代になり、クリーンな宇宙で生まれてくる新しい子供達に関しては可能かも知れない」
「こいつも貴重品になる時代が来る訳だ」
「もう一度入れるかい?」
「結構です…」
「宇宙時代か… 人間は地球に寄生して滅ぼしてしまったが、この先他の星に寄生できるかどうかが問題だな」