ss0058 それ以下

 どの国にも、それ以下という人達がいる。
「バラモン、クシャトリア、ヴァイシャ、シュドラー。インドは実際にはもっと細かく階級を作っている。一番下のシュドラー、いわゆる奴隷の下にもアンタッチャブルというのがいて、人以下の生活をし、常人がやらない伝染病で死んだ人の処理や大学病院の実習で使う死体の洗浄などの仕事をしている」
「江戸時代、日本の士農工商の下にも、つまり次男以降の土地を持てない水呑み百姓よりも下に卑人というのが居て、同じように普通の人がやらない、罪人の公開処刑の段取りや疫病で苦しむ人を殺したり、奇形児を殺したりする仕事をしていた」
「彼らはさしずめ、生物界でいうところの細菌やバクテリアといったところで、無くてはならない人たちだった。今でも少なからず居て、人の嫌がる仕事をしている。だから… なんとか彼らを表面に出し、彼らの誇りや地位を上げてやることは出来ないか?」
「まず、名前でしょうね、クリーンなイメージの名称がいい」
「そうだな、う~ん、内容的には、便利屋、なんでも屋の極限タイプだから…」
「超便利屋、超なんでも屋」
「究極の仕事人」
「特殊業務」
「まあ、後で考えるとして、最大の問題は、公務員、または、外部委託企業として正式に採用する場合の試験内容だ」
「勉強して試験受けてくれる人、居ますかね」
「う~む、それよりも書店に問題集を置かせてもらえるかどうかも疑問だ」