ss0048 裁判
裁判は必要だけれども…
「あなたはなぜ産まれてきたのですか」
「えっ そんな… そんな事で裁かれるのですか? それは親に聞いて下さい」
「あなたの親もそのまた親も同じ件で裁かれ中です」
「わたしの家の家系は健康で遺伝病もなく良い血統だと思うのですが、それでも裁かれないといけないのでしょうか」
「問題なのはあなたたちの容姿です。せっかく日本人は美男美女どうしが結婚し美男美女が増え、背が高くなり、足も長くなりました。それなのにあなたたちは…」
「そっそんな事言われても…」
その男の家系は裁かれ続けられながらも闇に潜り、細々と子孫を繋いでいった。
「あなたはなぜ産まれてきたのですか」
「えっ そんな… そんな事で裁かれるのですか? それは親に聞いて下さい」
「日本人は国粋主義者のクーデターにより、平安時代の平坦な顔とずんぐりむっくりした足の短い人たちが、美男美女として公式に認定されたのです。あなたたちは裁かれなければなりません。ああ、あなたはなんと醜いのでしょう」
その男の子孫は今度は裁く方に廻っていた。