ss0042 視線
女は顔の整形手術をし、念願の理想の顔を手に入れた。
女は整形手術をしたその日から、視線を感じ始めていた。
女はその視線に始めは優越感をもっていたが、
女はそれらの視線をすぐにうざったく感じるようになっていった。
女はそんな事が目的ではなかった。
女は視線や注目を浴びたいために整形手術をしたわけではない。
女は自分だけのために、理想の顔が欲しかっただけなのである。
女は手鏡を持ち歩き、頻繁に自分の顔を見てうっとりしていた。
女はその手鏡にも女の顔を見たい者達の姿が写るようになり、ついに怒鳴ってしまった。
「あんたらも整形手術したらいいじゃないのよ!」
彼女らはその声音を聞いて、驚愕し、うろたえながら去っていった。
そう、女は自分が理想とするかっこいい、いけ面男の顔に整形したのだった。
視線は今日も彼に向いている。