ss0023 ストレス
「バカは風邪ひかないとか、長生きするとかって、どういう意味かしら」
「また、古文の授業かい? 病気… ね。前世紀の時代には、そういうものがあったらしい。天然痘をはじめ、今でも幾つかの病原菌のサンプルが大学には保存されているよ」
「そのくらい知っているわよ、嗚呼… 病気ってどんなものなのかしら、一度かかってみてみたいものだわ」
「人間の住むエリアは他生物が絶滅した後、全て無菌状態にした。病気になろうだなんて絶対むりだよ」
「一つだけ方法はあるわ、病原菌による病気は諦めるけど、心の病ってものに挑戦よ」
「えっ、毎晩のケアカウンセリングは、国民の義務だよ、これのために現代人は心の病にもならない」
「授けるわよ。ただ聞いてるふりをして、頭の中では病気になりたいって願い続けるの」
「どう?」
「だめだわ。ついつい、カウンセラーの言葉を聞いてしまうの。それにカウンセラーの上をいき、ケアカウンセリングが上手くいっているように感じさせないとならないし…」
「あれっ、君の顔、不思議な色に… こんな顔色の人をこのシティーで見るのは初めてだ」
「慣れないことして、上手くいかないことにいらいらして、頭がくらくらするわ。それに睡眠カプセルに入っても寝付けなくなって…」
「それって、成功してるんじゃないの?」