ss0014 終わりの終わり
人間は、人生の節々に終わりがあるからこそ頑張れる。そしてその人生にも終わりがあるとわかっているから様々なことができるのだ。
「博士、やりましたね、活性酸素からの呪縛が溶けました。活性酸素による老化、死から人間は解放されました。水素による活性酸素を分解する方法の確立です」
「うむ、若返らせることはできないが、今現在地球上に生きている全ての人間は、希望すればその時の肉体年齢を永遠に維持することができる」
「ちょっと老人にはかわいそうですね」
「ああそうだな。そしてずっと子供のままでいたいという人も出てくるだろう。それから忘れてならないのは、この処置を施してしまうと生殖能力がなくなってしまうということだ」
「ははは、じゃ、やりほうだいですね… あっ 失礼しました」
「残念ながら性欲はなくなる。必要無くなるからだ」
「それでは永遠に続く人生に人を愛するという心は無くなるってことですか」
「そうだ、あらゆる生活行動、趣味にしても、性欲が心の奥底にあり、成り立たせている」
永遠の人生… それは永遠の退屈、永遠の苦なのかも知れない。