ss0004 口喧嘩
ある異郷の星で。新婚カップル。そしてティラノザウルス似のステーションのおじさん。
「キミ達、口喧嘩は絶対禁物だよ」
「えっ?」
「まあそのうち判るよ」
地平線が見えるだけの道をドライブする。
「なんにも無い星ねえ」
「そう言うなよ、まだまだ新婚旅行で宇宙に行けるのは大変なんだから」
「でももう少しましかと思ったわ」
「しょうがないじゃないか、高級レジャーランドとなった月は超エリートしか行けないし、現住生物と遊べる火星も元管理職のフルムーン専用地みたいになっているんだ」
「でもねえ」
「しつこいぞ」
「まあなんですって、カバ!」
「なにい、このタコ!」
「タコですって、ブタやろう!」
「ああぁぁ、キミはそんなふうにボクの事を思っていたのか、この化けメギツネめ!」
「そういうアナタはもっと腹黒いタヌキじゃないの!」
暫く口喧嘩が続く。そして日程を終え、ステーションで。
「やはり、あなたがたもだめでしたか。しかたがない、彼らを引き取ってもらいましょう」
「ぎゃ!!」
「この星でイメージと感情を篭めて口喧嘩すると言葉が現象化するのです。まあ、動物園でも開くんですな」
「… なんで初めにその事を云わないのよ! このティラノザウルス!!
… あっ!」