ss0003 単身赴任
現代とよく似た、未来のオフィスで。
「きみ、ちょっと遠いが二~三年だ、行ってくれるね」
「は・はあ…」
「最愛の妻よ子よ、実際は何時帰れるかわからないが、とうちゃんの事忘れないでくれよなあ。不倫もしないでくれよなあ…」
原始地球の様な星で。
「げげっ! こんな辺境の星だったとは。こっこんな処でコピー機のセールスが出来るのだろうか」
「寂しいよう、やっぱこんな星にはお客さんも旅行者も来ないじゃないか~」
「それにこんな最新型のコピー機なんか誰が… そうだまだ実際に動かした事がなかったな、暇だから少し遊んで居るか」
「これは写した物を立体化するコピー機なのだ。えーと、やっぱ話し相手が欲しいな」
コピーガラスの上にうつ伏せになる。
「おおっ! さあすが我が社の製品だ」
暫く話している。やがて。
「嗚呼、さすがに自分自身と喋っていると飽きるのも早いなあ、いや、それどころかもう一言も喋りたくない気分だ。どうやらあちらさんもそうらしい」
「今度は少し濃度を下げて、少し拡大してみよう」
「やったー。やっぱり外人さんが出来たぞ、今度は見てるだけでも楽しくなっちゃうなぁアハハハハ」
「次は反転コピーだ」
黒人が出来る。
「おお、いい、いい、いい」
「よーし平体、長体コピーだ! そして我が社特許のデフォルメコピーだああ~」
「ありゃ、かみさん作る前に子供を作っちまったか」
「ようし、胸にデフォルメと股間にマスク機能を組み合わせてと…」
その時ピピーピピーと、地球のワイフからテレビ電話が入る。
「あっ!! あなたあたしに不倫するなって言っときながら…!」
プッツリと、テレビ電話が切れる。
「ち、ちがうんだ~」